この日、ぼくらは漂流しているかのようだった。
この、ずっと先の辿り着けるかもしれないけど辿り着けないかもしれない、夜が明けない空と雪と氷の大地の境界のない青い広い世界を、荒野か湿原か海かもわからない凍るこの国をひたすら疾走している。何度も引き返そうと考えたが、目の前の踏み外せないほど細く地平線まで続く一本道を、ただ前進するほかなかった。昨日のスタックが思うようにスピードを阻む。辺りは氷の地帯巨大氷河ヴァトナヨークトルだ。恐怖心で早く平凡な時間と平凡な気持ちに戻りたいと願う一方で、このままここにとどまりたいほど美しい風景に心を奪われている。五分で風景が一変していく。強風が吹きさらし、吹雪で何もかも見失うほどの世界。広い原野にぼくたちしかいない。 この旅最大のピンチを駆け抜けた。 行く先々の思いもよらぬ景色と遭遇する旅。 巨大大な氷がへばりつく山。 モノクロームの景色。 ひたすら目指して走ってきた 氷河湖ヨークルスアゥルロゥン もっともっと先へ進みたかった。 しかし、今回はここまで来れたことを感謝しよう。 帰路は穏やかな空の元、 あの、青くて得体の知れなかった景色を確認しながら。 それでも、夕方になると吹雪きそうな空になってきた。 路面は来たときほどではない。 二日かけて走った道を、半日で引き返さなければ。 アイスランドに来て、しょっぱなのまともな夕食のあとは、 十数時間走って二軒しかなかった売店で、 スープやバーガーのようなものを食べ、 夜も朝も、買っておいたパンに野菜や肉をサンドして食べていた。 レイキャビークの少し手前、 ゴールデンサークルと呼ばれるエリアに、 今夜の宿を見つけた。 山の上のホテルは雪深く、走行難。 今日は十分すぎるほど疲れていた。 #
by factorycamp
| 2016-02-23 11:29
| 雑記
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